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とあるコントラバシストの呟き
ソクランに居る、あの方のツィートです(笑)





折角ハニャン大学の音楽科を卒業し、コンクールでも幾つか優勝、入賞したのに、俺はオケには入らなかった。
俺が就職活動をしてた頃、どのオケもコントラバスの空きがなかったこともあったが、クラシック音楽にあまり馴染みがないこの国でオケに入ったとしても、今後生活できるかどうか不安だったのも要因だ。
だから結局音楽とは関係ない会社に就職した。



11歳、年が離れてるから学んだ時期は被っていないが、同じ大学出身のトゥ・ルミという女の子がいる。

趣味のオケをやっていた時に大学の後輩が連れてきて、その時に初めて会った。

第一印象は単純に「可愛い子だな」だ。
目鼻立ちもはっきりしていて、均整の取れた顔立ち…これは相当男にモテるだろう、と思った。
確かに外見から寄ってくる男は多いのだが、彼女の竹を割ったようなサバサバとした性格の所為だろうか、殆どは「恋人」よりも「友人」としての付き合いにしてしまうようだ。

そして向こう見ずで気が強いかと思ったら泣き虫なところもある。

趣味のオケも仕事が忙しくなり殆ど行くことがなくなっていたが、ルミはなんだかんだで俺に懐いてくれて、すっかり「可愛い後輩」という感じになっていた。
音楽以外のことでも相談に乗ったりして…大学時代に付き合っていた彼とのことや、将来のことに関して相談されたこともある。

ルミが大学4年の時、折角内定をもらったというオーケストラが卒業直前になくなることになり、彼女は就職先を失った。

そうして彼女が落ち込んでるところに

「俺が住んでるソクラン市が市の職員を募集してるけど…どうだ?」


それから数年後、ルミが企画したというプロジェクト・オーケストラに是非参加してほしいと誘われて、名立たるメンバーが居る中、俺は尻込みしながら参加することにした。

…のだが、この出来事がきっかけで俺の人生は大きく変わる(狂う?)ことになったのだ。


俺――パク・ヒョックォンはひょんなことで勤めていた会社を辞しソクラン市響に就職したが、次々と巻き起こる騒動の中で市響は解散。
路頭に迷う寸前のところ、友人が経営していた花屋を諸事情で手放さなければいけなくなった為、借金をしてその店ごと引き継いで花屋を始めることになった。



とあるコントラバシストの呟き






4月のある日、仕事が終わって家で夕食を食べた後、リビングで缶ビール片手にテレビを見て寛いでいると妻のファン・ヨンヒが子供部屋から出てきた。
ヨンヒは隣りに座ると俺のビールをヒョイッと取り上げてグビグビと呑み、再び俺の手へと缶を戻す。

「はぁ~…やっと寝たわ。
 ウラはすぐに寝たんだけど、ボラってば最近頓に体力付いちゃってなかなか寝てくれないのよね」

「幼稚園や家であれだけ遊んでもか?」

「そうなのよ。
 でもウチは女の子だからまだいいわ。
 男兄弟のお家は毎日戦争らしいわよ、遊び方も兄弟喧嘩も激しいんですって」

ヨンヒはそう云いながら取り込んでおいた洗濯物を畳み始めたので俺も手伝う。

「――今日、ルミに会ってさ」

「ルミさんに?」

「うん、ちょっと報告したいことがあって…って、店に来たんだよ。
 …何を報告しに来たと思う?」

「ルミさんが報告…報告……。
 え……まさか、とうとう耳が聴こえなくなったとか?!」

「いやいや、アイツの耳はすこぶる調子がいいらしいよ。
 そうじゃなくて、ルミのヤツ、3月にミュンヘンに行ったらしいんだ」

「ミュンヘン?
 …ってドイツよね、旅行に行ったの?」

「あれだよ…カン・マエだよ!
 アイツ、カン・マエに逢いにミュンヘンまで行ったんだ」

「ああ、そっか。
 そういえばミュンヘン・フィルの指揮者になったんだったわね」

「そう。
 まぁルミ曰く、カン・マエに会わずにコンサートだけ聴きに行くつもりだったらしいんだけど、街中で偶然会っちまったんだと。
 それで色々あって…あの二人、また付き合うことになったらしいんだ」

「“また”?」

「あー、お前には云ってなかったっけ。
 カン・マエがソクランに居た時も、ほんの少しの間だけだったみたいだけど付き合ってたんだよ。
 ルミのやつ…あの人のいいゴヌを振ってさ」

「へぇ~そうなの!
 ……ふぅ~ん、カン・マエ先生とルミさんが…そうなんだぁ」

ヨンヒは靴下を畳みながら首を大きく縦に振って何度も頷いている。

「しかし、アイツ…なんだってカン・マエなんかに惹かれたんだろうな。
 あのままゴヌと付き合ってれば、あいつは何事にも真っ直ぐで真面目なヤツだからちゃんとルミを幸せにしてくれてただろうに…。
 アイツは何が面白くて棘(いばら)の道を突き進んでるんだか…」

「そうかしら?
 カン・マエ先生とルミさんって、お似合いだと私は思うわよ」

「えー?」

「なんていうのかしら…カン・マエ先生ってああ見えてとても繊細な人じゃない?
 反してルミさんは豪快っていうか、思い切りがいいところがあるでしょ。
 だからカン・マエ先生のそういデリケートな部分を、ルミさんが上手にカバーしていくんじゃないかしら」

「ルミのは…アレだ、後先考えてないってヤツだ」

「確かにそうだけど…でもそれが先生にとって救いになるんじゃないの?
 結婚したらきっと上手くバランスのとれた素敵な夫婦になると私は読むわ」

「…でもカン・マエは結婚はしないぞ」

「そんなの分からないじゃない」

「いや、前、俺にそう云ったんだ。
 あれは確か…市響の解散ストの時、俺が市響を辞めるってカン・マエに辞表を出しに行った時のことだったと思うけど。
 ほら、給料が入らなくてさ…それで大家に云われて家を手放さなきゃいけなくなった時…」

「……」

「その時に家族の為に辞める俺のことを立派だって云ってくれてさ。
 『自分のことで精いっぱいなのに、人の人生を背負うなんて出来ない。だから私は家族を持たないんだ』って。
 あの云い方は一生結婚しないつもりなんだろうと思ったよ」

「でもルミさんと付き合っていくうちに、気持ちが変わってくるんじゃないかしら。
 甲斐性はもともと充分にあるんだし、あとは先生の気持ち次第でしょう?
 そのうちルミさんを背負う覚悟が芽生えてくるんじゃないかしら」

「そうかな?」

「そうよ!
 私だって最初はあなたと結婚するつもりなんて全然なかったんだから!
 …でもあなたと付き合っていくうちに、あなたの誠実なところや面倒見がいいところを知って、『この人とならずっと一緒にやっていけそう』って思ったのよ」

「…そうだったのか?」

「ええ、そうだったの」

ヨンヒは「私ってキツネ目だからいやなのよね」と云っている目(俺はそれが可愛いと思ってるんだが)を細めて俺を見る。
そう云われて俺はなんだか恥ずかしくて、そそくさと子供部屋に子供たちの寝顔を見に行った。

それから1年後、ルミはミュンヘンのカン・マエの元へ行き同棲を始めた。
更に半年ほど過ぎたころにルミと密に連絡を取り合っているゴヌとジュヒ、ジュヨンから二人が婚約したことを聞かされた。





花屋の仕事は妻が引き継いでくれて、俺は復活した市響に戻れることになった。
彼女は結構やり手で、店員の子たちを俺なんかより遥かに上手く教育しまとめてくれる。
近々ソクラン市内に2号店を開店しようか…なんて話も出ているほどだ。

市響も順調で、マウス・フィルもよく手伝ってくれている。
最近はペ・ヨンギとキム・ジュヒ夫婦に子供が生まれ、キム・ジュヨンと市響のホルン奏者クォン・ジュンジンが付き合いだし、なんだか幸せなムードに包まれている。
二組とも「私たち、ルミさんとカン・マエが居なかったら出会うことなかったのよね」と嬉しそうに云っていた。

その日は俺とヨンヒの休みが珍しく被り、平日だったため子供たちも小学校と保育園に行っていたので家でのんびりしていた。
俺はダイニングテーブルでノートパソコンを開いてゴヌから来たメールの返信を書き、ヨンヒはリビングで店の帳簿をチェックしていた。
メールを送信しノートパソコンを閉じると、縮こまっていた体をほぐす為に伸びをしリビングへ移動する。
暫くするとヨンヒがキッチンへ向かい、二人分のコーヒーを持ってきた。
「はい」と手渡してきたコーヒーを俺は受け取り…

「ルミが妊娠したらしい。
 もう5か月だと」

「あら、本当に!
 5か月ならもう安定期ね」

「うん、でも…俺は知らなかったんだけど、イドゥン伝いのゴヌの情報によるとルミ、去年流産してたらしいんだ。
 安定期に入る少し前に」

「……まぁ……そうだったの…。
 ルミさん、辛かったでしょうね…」

ヨンヒは眉尻を下げて悲しい顔になり、俺はコーヒーを一口飲んだ。

「それにしても、カン・マエに子供…か。
 想像できんな…」

「そう?
 私は意外といいパパになると思うけど」

「そうかぁ?
 一体カン・マエの何処をどう見ればいいパパになれるんだよ?」

「ほら、私がウラを出産したとき、なんだかんだでカン・マエ先生が傍に居てくれたじゃない?
 それで…」

…とプッと噴き出して、

「あの時のことを思い出すといつも笑っちゃうんだけど、呼吸法とか一緒にやってくれて!
 で、私が分娩室に運ばれた後、看護師さんにお願いすればよかったのにボラとずっと一緒に居てくれたのよね。
 あとからボラに『ママが赤ちゃん産んでる間、先生と何してたの?』って聞いたら、『モーツァルトっていう人のお話してくれてたの』って云ってたわ」

「モーツァルト?
 …幼児にか?」

俺は苦笑する。

「泣いてるボラを宥めようと必死だったらしいわよ。
 ボラも先生のこと、気に入ったみたいで暫くの間『モーチュアート、モーチュアート!』って云ってたっけ」

「ああ…そういえばそんなこと云ってたことあったな。
 あれはモーツァルトのことだったのか、気付かなかった」

「…多分、小さい子と接する機会がないから、どう相手すればいいのか分からなかったのよね。
 それでもカン・マエ先生なりに一生懸命ボラの相手をしてくれたのよ。
 口は悪いし無愛想だけど、本当は真摯な人なんだなーって思った。
 だから自分の子供にもちゃあんと向き合える人だと思うわよ」

そう云いながら俺たちの3人目の子供…リビングの床で昼寝をしている、もうすぐ1歳になるナラの背中をポンポンと優しく叩きながらヨンヒは柔らかい笑みを浮かべた。





それからまた時は流れ…


カン・マエとルミのところに子供が生まれて1年と半年。
弟子修行に行ってるゴヌからのメールによると夫婦仲もとてもよく、カン・マエも休みの日には子供の面倒をよく見てるそうだ。

ヨンヒの云ってたことは当たってたらしい。



やっぱり俺の奥さんは凄いなぁ…としみじみ思った。








スクロールするとあとがき



























ヒョックォンさんの嫁自慢SSでした。


リズ様のところではまさかのホン・ジュンギさん一人称でしたが、当ブログではまさかのパク・ヒョックォンです。

え?まさかじゃない?
ええ、そうですね…私、ヒョックォンさんがかなり好きなんです(笑)

ルミとの出会いと花屋への転職経緯は完全に私の捏造ですのでご了承ください。
あとルミがソクラン市役所に就職するに至った経緯も…。
でもルミって結構ヒョックォンさんを頼りにしてたので、こんな感じかしら、と妄想した次第です。

ヒョックォン夫妻、3人目です。
「次は男の子を…!」と頑張ったんですが、生まれたのはまた女の子だった…という。
なんとなくこの夫婦には女の子しか生まれない気がします。

子供ってワケわかんないこと云ってるな~…とか思ってると、ちゃんとワケがあったりするんですよね。
我が家の1号、夏の初めくらいから「ジャコモジャーモ!」と変なこと云ってたんですが、これが「チョコモナカジャーンボ!」だということが暫くしたときに判明しました(笑)
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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

【2013/12/18 21:00】 | ベバ二次小説 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント

寅三吉。さま   こんばんは

今回は拝読し、そのままの感想を書かせて頂きます。

まず、「とあるコントラバシストの呟き」に癒されました。
ヒョックォンさんの奥さまのヨンヒさんが、いい味を出していて
拝読して、ホッとします。
「カンマエとルミちゃんが、また付き合うことになった」
と聞いても
「きゃーーー」とか「マジ」なんて言わずに
「また?」と聞く辺りがいいし、感じたままをそのまま言葉に出来、
その言葉に理由の裏付けがなくても、ヨンヒさんが仰ることは
的を得ていて、そうなりそうと思わせてくれますね。

ヒョックォンさんに言った「家族を持たない」と言った言葉
私もひっかかっていて、ヨンヒさんのように仰っていただけると
胸のつかえが取れた思いです。

私もヒョックォンさんがかなり好きな部類の人間です。
個人的には、ベバの中ではカンマエとある意味対照的な男として
描かれたのではないと思う程です。
コントラバスを売り、ショーウィンドウに飾られた自分の
コントラバスを見つめるヒョックォンさんに、危うく揺らぐとこでした(笑)

ヒョックォンさん家族も幸せに暮らしているんだな・・・
そんな風に思わせて頂き、感謝です。有難うございました。



【2013/12/18 23:15】 URL | ran #0EjQUAK2[ 編集] | page top↑
●ran様

こちらにもコメント、有難うございますv
まさかこのSSが癒し系だとは気付きませんでした(笑)

ヒョックォン夫妻は本当に普通の人たちとして描かれてましたよね。
ヨンヒさんは浮足立ったところがないというか、自分の意見を持ったしっかりとした女性に見えました。
だから「二人がまた付き合うことになった」と聞いても女子高生のように興奮しない気がします。
あの二人のことを冷静に見れるのは、傍目八目だからかもしれません。
ヒョックォンさんは二人と関係が近すぎて、思うところが色々とあるでしょうから(笑)


> ヒョックォンさんに言った「家族を持たない」と言った言葉
> 私もひっかかっていて、ヨンヒさんのように仰っていただけると
> 胸のつかえが取れた思いです。

カン・マエとルミを結婚させるには……私的にもこの言葉がかなり引っかかってました。
それはSSを始めたころからそうだったようで、拙作「パリの恋人」でルミにその台詞を云わせる為に「マウス・フィルの日」にてヒョックォンさんがルミにそれを伝えてます。
ヨンヒさんの云った通り、カン・マエはルミと同棲をはじめて、彼女の存在の大切さを実感していくようになりました。
カン・マエは音楽以外のことでは自分に自信がない人だと思うので、「こんな自分が人の人生まで背負えない」と思ってたんですよね。

ran様が以前、「花を踏み潰す男と花屋を始めた男」として対極に描かれてた…と記事にされてるのを拝読し、目から鱗が落ちたような気がしました。
何もかもが対照的な二人でしたよね。
ヒョックォンさん、ベバ内の名脇役です!

当二次のベバメンバーは、チェ・ソッキュン以外はみんな安泰に暮らしてる設定です。
市長に返り咲いたカン・チュンベ氏が登場する話も妄想してましたが、上手くまとまりそうにないのでお流れになりました(汗)
【2013/12/19 00:28】 URL | 寅三吉。 #m9hpFNiU[ 編集] | page top↑
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