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韓ドラ「ベートーベン・ウィルス」のカン・マエ×ルミの二次小説ブログです。管理人:寅三吉。

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寅三吉。

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雷、のち晴れ

Posted by 寅三吉。 on   2  0

いつも訪問くださり有難うございますv

過去妄想保管SSです。

話の時系列的には「Beethoven syndrome」から「ドイツのロンドン・トリオ」、「愛の喜び」の間とそれ以降の話になります。

相変わらずオリキャラのアレッサンドロ君が出張っておりますが、ご了承ください(汗)
あと当二次のルミは「雷が大の苦手」という設定になっております。




その日、ミュンヘンの空は暗かった。
朝は晴れていたのだが、午後になると西の空から灰色の雲が流れてきて徐々に覆い尽くしていった。

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターであるヴィクトール・ルードヴィッヒは、練習室を出た数メートル先の薄暗い廊下で携帯電話で話をしていた。

「…ああ、そうだな。
 私もそっちの曲の方がいいと思う。
 インスペクターにも伝えておくよ」

電話の相手はこの楽団の現在の音楽総監督で常任指揮者のカン・ゴヌだ。
彼は現在、怪我をして動けない彼の師匠の代わりにオーストラリアへ1週間前から行っている。
急な出張だったため、本来なら直接話し合う予定だった案件をこうして電話で打ち合わせしている次第である。



雷、のち晴れ



練習室からは先ほどから男女数名の楽しそうな声が聞こえてきている。
練習が終わってもう30分近く経っているが、若い独身団員たちは練習後にこうして喋っていることが多々あるようだ。

ヴィクトールが電話の向こうの声に耳を傾けていると、部屋から一段と大きな笑い声が聞こえてきたのでそちらに一旦視線を送った後、窓に目を向けて会話を続けた。

「ふん…取りあえず、君が云うように話を進めて――」

その時、窓の外でかなり眩い光が3回ほど立て続けに輝き、曇天の街並みを一瞬真っ白に照らした。

「おっと…!!」

ヴィクトールは思わず声を出して驚いて、慄くように足元がふらついてしまう。

『どうした?』

受話口から低いがよく響く声が聞こえてきた。

「いや、今、南の空から物凄い稲光が…」

すると閃光よりかなり遅れて「ゴロゴロゴロ…」と空気が轟く音が響いてきた。

「午前中は晴れてたんだがね、今日はおかしな天気だ」

『………ミュンヘンは今、雷が?』

「ああ、今にも雨が降り出しそうだよ」

『………』

「ゴヌ、雷だと何かあるのか?」

『…いや……なんでもない』

「兎に角、今回の件は君が云う通りにしていくよ。
 君が帰ってくるのは…まだまだ先だな。
 また何かあったら電話するよ、それじゃあ…」

ヴィクトールが電話を切ろうとすると「ちょっと待ってくれ」と声が聞こえたので再び受話口を耳に当てる。

「何だい?」

『…アレッサンドロはまだ練習室に残ってるか?』

「どうかな、多分アイツのことだから…」

と云いながら練習室の方を振り返ると丁度部屋から日本人ヴァイオリン奏者の女性が出てきた。

「ナミコ、アレッサンドロはまだ練習室に居るかな?」

「アレックスですか?
 ええ、居ますよ、呼んできましょうか?」

日本人らしい細やかな気遣いをする彼女に「ちょっと待って」と制止し、

「アレックスと電話を替わった方がいいのか?」

『あぁ。
 ……いや、居ると分かればそれでいい。
 失礼する』

ヴィクトールは同僚女性に「電話は切れたよ」と伝えてから携帯をポケットに仕舞い帰宅しようと歩き出すと、練習室から誰かの携帯の呼び出し音が聞こえてきた。






それから3日後の朝、ミュンヘン・フィルのファゴット奏者であるアレッサンドロ・カニーニョはカン・マエ邸に来た。
家主の車の隣りに自分の車を駐車させて降りると、朗らかな表情と足取りで玄関へと向かって呼び鈴を押す。
ドアが開くと家主の妻であるトゥ・ルミが満面の笑みで迎え出た。

「おはよう、アレッサンドロ!
 今日はよろしくね」

「おはよう、ルミ。
 なんの、お安い御用だよ」

今日はルミの同国の友人がシュトゥットガルトに留学のために渡独しに来るので、空港まで迎えに行き、そのまま車でシュトゥットガルトまで送り届ける予定なのだ。
当初はカン・マエが行く予定だったのだが(当然カン・マエは拒否したのだが、ルミが何度か懇願して渋々承諾してくれた)急な出張で行けなくなった為、ルミがアレッサンドロに頼んだところ快く引き受けてくれた。

「取りあえず家に上がって。
 カプチーノ飲むでしょ?」

アレッサンドロは頷いて慣れた様子でリビングのソファに座るとトーベンが尻尾を振って近付いてきたので、大きな手で頭と背中を撫で始めた。


「…この間の雷の日、家に来てくれて本当に有難う。
 凄く心強かったわ」

淹れたてのカプチーノをテーブルに置くと、ルミは一人掛けのソファに座った。

「ははは、いや~まさかルミが雷が怖いなんてね~。
 どっちかって云うと喜び勇んで窓に飛びついて稲光を見に行くタイプだと思ってたよ」

ルミは「へへへ」と照れ笑いし、

「小さい頃、雨宿りしてた軒先の目の前にある公園の木に落雷してね…。
 今でも鮮明に覚えてるけど、光と音が凄まじくて、本当に怖かったの。
 それからは雷だけはどうしても駄目!
 それ以外は…遊園地の絶叫マシーンも大好きなんだけどね」

「マエストロはルミが雷怖いこと知ってるの?」

「うん」

「それじゃあ…マエストロ、ミュンヘンの天気をオーストラリアからずっとチェックしてたんじゃないの?
 だから俺に『ルミのところに行ってやってくれ』って云ったとか…」

「まさか!
 だって先生ってば雷になると『ホラ、ルミ、遠くでゴロゴロ鳴ってるぞ』ってあの意地悪そうな笑みを浮かべながら云うのよ!
 だからただの偶然よ。
 流石に3週間もの間不在だから、ちゃんと生活してるかどうかアレッサンドロに偵察に来させたんじゃないかしら?」

「さて、どうだかねーぇ……」

厭らしい笑みを浮かべながらアレッサンドロはカプチーノを口に含むと、ルミは小さな溜息を吐いた。

「はぁ…なんだかな、ああいう時に限ってすごく耳が良く聞こえるのよね。
 あの日なんて曇ってたのに、すごく調子が良かったのよ。
 どうせなら…あの時に――」

ルミは急に押し黙ってしまったので、アレッサンドロは小首を傾げる。

「“あの時に”…何?」

「あ…うん、あの時に耳が聞こえなくなればよかったのに…って云おうとしたんだけど、そんなバチ当りなこと云ったらダメよね。
 この間聴こえなくなった時、検査しても何ともなかったんだから、そんなこと思ったらダメね」

彼女のその言葉に笑顔だったアレッサンドロの表情は一瞬にして険しいものになった。

「………ルミ、どういうこと?」

「え?」

「今、聞こえなくなったって…」

「あ…そっか、云ってなかったっけ。
 先月に半日だけだけど、左耳も聞こえなくなったことがあって…。
 先生からも聞いてない?」

「――聞いてないよ…」

まるで捨てられた子犬のような寂しげな顔になったアレッサンドロにルミは焦り、

「あ、でもね、本当に大丈夫だったのよ?
 病院で隅から隅までじっくり検査した結果、何の問題もなかったの。
 腫瘍が再発したわけじゃないし、あれから調子いいし」

「先月…って、もしかして5月中旬くらいの出来事だった?」

「うーんと…そうかな、うん、確かその頃ね」

「………」

「どうして?」

「いや…あの頃、マエストロの機嫌がなんでか知らないけど滅茶苦茶悪い時があって…。
 普段なら怒らないような小さなミスにも厳しく糾弾してきてさ。
 団員たち皆『どうしたんだろう?オーケストラ・キラー再び?』なんて云ってたんだ。
 …でも合点がいったよ、ルミのことが心配だったんだ…」

「そうだったの…なんかゴメンね、私の所為で…」

ルミは目尻を下げて「あはは…」と面目なさそうに力なく笑った後、

「と、とにかく、今はもう大丈夫だからね!
 さて、そろそろ出かけましょうか!」

気まずい空気を払拭するように両手を広げたオーバーなジェスチャーをしてソファを立ち上がった。





カン・マエがオーストラリアと、オーストラリアから直接向かったベルギー…彼が審査員として参加した指揮者コンクールから帰ってきてから3週間ほど過ぎた頃のこと。

昼休憩中、よく行くカフェのテラス席でカン・マエが昼食を食べていると、同じ店の少し離れた席に居たアレッサンドロがやってきて無言のまま向かいの席に座った。

「……なんだ?」

いつもと様子が違う彼の姿にカン・マエは怪訝そうな瞳を向けると、アレッサンドロは何故か不機嫌そうな顔をしていた。

「…マエストロ、水臭いです。」

「何がだ?」

「ルミから聞きました。
 ルミの左耳の事…5月に全然聞こえなくなったって…」

「……」

「云ってくれればいいのに…」

「お前に云ってどうなる?
 ルミの耳が良くなるなら云うが、云ったところで何も変わらんだろうが」

「そりゃーそうですけどね、力になれるかも知れないじゃないですか。
 ルミを元気づけに行くとか」

「………」

「俺も分かってますよ、マエストロがそういうことを易々と触れ回るような人じゃないって。
 でもマエストロの団員として、ルミの友人として、教えてほしかったんですよ」

「………」

「俺、マエストロに少しは信頼されてると思ってましたから…ちょっとっていうか、かなりショックです…」

「………」

「………」

それからアレッサンドロはしょぼくれた顔で黙り込んでしまった。
カン・マエはそんな悲しげな表情をするファゴット奏者副首席を今まで一度も見たことがなかったので、何と声を掛けたらいいのか分からず、だが不機嫌な顔でいる。
数分もの間、二人の間では何の会話もなされることがなく――

「―――あー!分かった分かった!
 今後、もしルミに何かあった時は、お前にも力になってもらうことにする!
 全く……それでいいだろう?」

この現状にとうとう痺れを切らしたカン・マエが一気に捲し立てた。

「本当ですか?」

「ああ」

「天地神明に誓って?」

「ああ」

「絶対ですよ?
 何かあったら、ぜーーーーったいに俺に教えてくださいよ!」

「ああ」

「それからルミが雷に弱いってことも教えておいてくれてれば……」

「………」

「これからはマエストロが不在の時に雷が鳴ったら、真っ先にルミのとこに行きますから!」

「……まったく…お前は…。
 ここ数週間、恋の病だか何だかでまともに私の話を聞かないと思ってたら、急に何だ、藪から棒に。
 早く席に戻れ、私はこれからこの書類に目を通したいんだ」

「シッシッ」と犬を追い払うかのような手振りをしたあと、鞄から白い封筒を取り出した。

「約束ですからね、マエストロ!」

真剣な表情をするアレッサンドロを見ないまま、カン・マエは無言で頷くと、アレッサンドロは笑顔に戻りウルフとアウグスティンのところへと戻っていく。
カン・マエはその後ろ姿を見ながら眉を顰めて困ったような、だが左頬に小さな笑みを浮かべて小さく頭(かぶり)を振ると、封筒から書類を取り出すのだった。



Das Ende





スクロールするとあとがき




















もともとは雷の部分と、アレッサンドロとルミの描写以降は別々に、かなり前に妄想していたSSでしたが、雷の話だけだと上手く纏まらん~どうしよう~?と考えて一緒にしてみました。
だからでしょうか…元は別物なので、なんだか前半後半でチグハグな感じがします(苦笑)
力量不足ですね~…ごめんなさい。

こんな出来事があったので「アレッサンドロが好きなのは私じゃなく、ルミ(とトーベン)」と思ってしまったのでしょう。
自分に好意を向けられるのに慣れてない人ですからね、アレッサンドロはこんなに「マエストロ好き好き!」アピールをしてるというのに(苦笑)

ミュンヘン・フィルには日本人ヴァイオリン奏者が実際にいらっしゃいまして…(布施菜実子さんという方です)
今回、登場させてしまいました。
苗字は違うことになってますが、お名前は拝借してしまいました(;^^)


さて、当二次もそろそろ終わりが近づいています。
今回ばかりは本当です(笑)
「御託はいいから最終話が早く読みたいんだよー!」という方、お待たせしております。
残るは本編が2話、最終話が3話、番外が2話、残ってますが…
本編の1本は上手くまとめれるかどうか…上手く出来なかったらアップしません(汗)


そして……
裏、昨晩こっそりアップしておきましたv

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寅三吉。

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-2 Comments

ran says...""

寅三吉。さま    こんばんは☆

作品の公開ありがとうございます。
アレッサンドロ君の話す「ルミのところへ行ってやってくれ」に
「まさか!」と答えるルミちゃんも
カンマエがルミちゃんの耳の事で悲しみ苦しみ、、
まわりから見れば機嫌悪いマエストロなところが痛いけれど
そんなカンマエに対して心配なアレッサンドロ君に
微妙な理解をしたカンマエ~
なんて天然な2人なんでしょうーーー
でも、アレッサンドロ君がキレキレで吠えまくってくれますから
いい、、いいですよ、、、このお話。
アレッサンドロ君が1人でゼーハー走り回って、カンマエとルミちゃんは
幸せに繋がってるって実感させてくれる、、、
そんな内容が、いいですよーーー

寅三吉。さまは、前半と後半が云々と「あとがき」に記していらっしゃいますが、
「どこ、、」「どこやねん」と言う感じで、読ませて頂く側は
至ってスムーズに読ませて頂きました。

最後のカンマエの姿、、、どこかで感じた感覚。
これ、私独特な感覚だと思いますが、「シッシッ」と言ってから書類を出すまでの姿が
ベバ8話ルミちゃんが「The Best」を書く直前、カンマエの音楽を
「さびしくて、後ろ姿をみてるような、悲しいような、…抱きしめたくなるような」
そんな風にルミちゃんに言われて、「仕事やれ」って言う時に似ていて、、私は超好きです。
ここ、、好きなんです(笑)
本編ではルミちゃんに理解を示されたことが嬉し恥ずかし的で(笑)
アレッサンドロ君の心配の対象に相違はあるけれど、カンマエは理解を示されて
嬉しんだよね、、、、不器用なヤツ(笑)
また、人と違ったツボ話で申し訳ない。

「そろそろ終わりが近い」と仰る寅三吉。さまに何を申し上げればいいのやら
少々、悩みます。
なんならディアンドル以上のものを探して天から降らそうかとも思いましたが
心残りなくFin.出来ますように、、、
そして、また考えればいいじゃないーーーーと、叫んでおこう!

長文失礼しました。


2014.03.09 22:11 | URL | #0EjQUAK2 [edit]
寅三吉。 says..."Re: タイトルなし"
●ran様

こんにちは。
こちらこそ読んで下さり、そしてコメントを有難うございます!

> なんて天然な2人なんでしょうーーー

そうなんです!
当二次の二人は、ルミは言わずもがな…ですが、実はカン・マエもちょっと天然なんです。
確かran様も以前「カン・マエって結構天然」って書かれてたと記憶してるのですが…なんといいましょうか、自分では完璧だと思ってるんでしょうけど、人から見たら結構突っ込みどころ満載だったりするんですよね、マエストロって(笑)

アレッサンドロはゴヌの役目もミョンファン先生の役目も担ってくれてます。
有難いキャラです。
ゴヌがミュンヘンに弟子修行に来た暁には………二人してこの夫婦に振り回されるんでしょうね、ああそれを妄想するのも愉しいかも(笑)

至ってスムーズに…と思って頂けたなら幸いです。
元は別々だったので書き手として違和感があるだけなのかもしれません、気にし過ぎなのかも。

> ベバ8話ルミちゃんが「The Best」を書く直前、カンマエの音楽を
> 「さびしくて、後ろ姿をみてるような、悲しいような、…抱きしめたくなるような」
> そんな風にルミちゃんに言われて、「仕事やれ」って言う時に似ていて、、私は超好きです。
> ここ、、好きなんです(笑)

あのシーン、いいですよね♪
「抱きしめたくなるような」と云われて照れ隠しなのかちょっと眉をしかめちゃったりして(笑)
で次にルミが振り向くと、カン・マエが指揮に酔ってる?ところがこれまたツボな私です。
(…と久々にこのシーンを見たくなったので、現在視聴中)

> アレッサンドロ君の心配の対象に相違はあるけれど、カンマエは理解を示されて
> 嬉しいんだよね、、、不器用なヤツ(笑)

本当は嬉しいのに、それを伝えないのがカン・マエと云う男…(笑)

そして 好意を受けることにも慣れてませんが、人に頼ることもし慣れてないと感じます。
本編でも何事も自分一人で解決しようとしてましたよね。
なんだかそんなカン・マエの姿が切なくて、妻や弟子以外にも理解してもらえる存在が欲しいな…と。
アレッサンドロは鳥のヒナの「刷り込み」みたいなもので、初めてカン・マエの音楽を聴いたときからカン・マエの虜ですから、どんなマエストロでも受け止めるヤツなのですが(笑)

「ディアンドル」以上というか…ディアンドルのあのブラウスがかなり衝撃的なのですが!(笑)
はい、悔いなきようFin.させたいと思っております(^-^)

いつも有難うございますv
2014.03.10 01:56 | URL | #m9hpFNiU [edit]

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