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韓ドラ「ベートーベン・ウィルス」のカン・マエ×ルミの二次小説ブログです。管理人:寅三吉。

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寅三吉。

Author:寅三吉。
色々と「萌え」の多い人生。
そして現在韓国ドラマ「ベートーベン・ウィルス」のカン・マエ×ルミの妄想をする楽しい日々を過ごしております。
そのありえない妄想をこのように形にしております。楽しんで頂ければ幸いです。

初めてお越しの方は下の「カテゴリ」の「はじめにお読みください」を読んで頂けると有難いです。

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ウィーンの吉日2 2014-03-15-Sat

こんにちは。
ご訪問くださり有難うございます。

今回のSSに出てくる「音楽の家」のベートーベンの肖像画と展示物はこちら。

IMG_1113.jpg

IMG_1125.jpg

IMG_1127.jpg

画像…テレビに映し出されたものを撮ったので悪いです(汗)子寅対策としてテレビカバーがしてあるので尚更…。
番組は昨年末に放送されていた「羽鳥慎一の1万人の第九音楽旅」です。

タイトルは「ウィーンの吉日2」ですが、話的に「ウィーンの吉日」と繋がってるわけではありません。







ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のマエストロ・カン・ゴヌは、ウィーン旧市街地にある「Haus der Musik(音楽の家)」に来ていた。

オフホワイトのチノパンツに白いシャツ、濃いアンバー色のジャケットを着たカン・マエの右手には彼と同じくらい色白の小さな手が握られており…もうすぐ5歳になる娘、カン・ミウが満面の笑みで彼の横に居る。

彼は2週間の夏季休暇で家族三人でウィーンの自宅に帰ってきている。
帰ってきている、と云っても現在彼の生活拠点はミュンヘンであるので、小旅行のような感覚で来ているようなものだ。

ミウを連れてこの地に来るのは1歳を過ぎた頃に初めて連れて来てから、今回でもう6回目だろうか。
父親との久々のお出掛けの為かご機嫌な様子でスキップをする娘の姿を、カン・マエは優しく穏やかな瞳で見ていた。



ウィーンの吉日2


「音楽の家」はウィーン出身者や、この地に所縁のあるクラシック音楽家たちの生涯や作品に触れられる様々な展示物がある博物館だ。
他にもサイコロを振るとオリジナル・ワルツが作曲できたり、スクリーン上に映し出されたウィーン・フィルハーモーニー管弦楽団が自分の指揮で演奏するヴァーチャル・コンダクター体験が出来るアトラクションなど、音楽の造詣がなくても楽しめるところである。

ハイドンの部屋を通り、モーツァルトの部屋を過ぎると次はベートーベンの部屋である。
ベートーベンの有名すぎる肖像画が掛けられた壁を見たカン・マエは礼をするかのように思わず小さく頷いた時、ミウが「あ!」と声をあげて手を離して先を行ったので、カン・マエはいつもの優雅な歩き方で娘の後を着いていく。
肖像画の隣りには些かくすんだ金色をした円錐が数個、壁に掛けて並べてあった。
これはベートーベンの難聴体験が出来る展示物である。

「パパ、これなぁに?」

ミウは一番低いところにある、右端の展示物を手に取るとカン・マエの顔を見て訊いた。

「これか?
 これはこうして…」

とミウから展示物を受け取り、少し屈んで彼女の右耳に当て

「耳に当てて音を聴くんだ」

「おみみに?」

ミウは筒に耳を傾けるが、すぐに怪訝そうな表情をして首を振る。

「なにもきこえないよ?」

「それがベートーベンが聴こえていた世界なんだよ。
 彼は耳が聞こえなかったんだ」

「…?
 ベートーベンってパパがすきな、ピアノとかおんがくやってたヒトでしょ?
 きこえないならピアノできないよ?」

「ベートーベンは大人になってから病気で耳が聞こえなくなったんだ。
 それでも音楽をやっていたんだよ。
 あぁ……ほら、ママも片方の耳が聞こえないだろう?
 ママも昔は右耳が聞こえていたけど、病気になって聞こえなくなったんだ。
 それと同じだ」

「…ママとおんなじ?」

「そうだ」

ミウはカン・マエの顔を見た後、耳から離した金色の円錐体を暫くの間無言で眺めていた。





トゥ・ルミはウィーン郊外にある家のリビングで、ノートパソコンの画面に映し出されている音符と睨めっこをしていた。

娘が生まれてから仕事は殆どやっていないのだが、母国のテレビ局から依頼される編作曲の仕事を年に数本だが受けており、その締め切りが10日後に迫っていたのでウィーン中心街に行った夫と娘と一緒に出掛けなかった。

「んー………やっぱりここはピアノかなぁ…」

カチカチとマウスを数回鳴らすと伸びをしてソファを立ちあがり、カプチーノを淹れるために隣りの部屋にあるキッチンへと向かおうとした時、突然玄関ドアが開いたのでそちらを見ると夫であるカン・マエが娘のミウを抱きかかえて入ってきた。

「お帰りなさい、早かったわね」

玄関に走り寄っていくと、ミウはカン・マエの右肩に頬を乗せて眠っている。

「あら、ミウってば寝ちゃったの?」

「ああ、帰りのタクシーの中で泣き疲れて…」

そう聞いて再びミウの顔を見てみると確かに目の縁が赤く涙の跡があり、睫毛が濡れている。

カン・マエはそのまま2階の寝室へ向かい、キングサイズのベッドにミウをそっと寝かせた。
ルミはその後を着いてきていた。

「泣いたなんて…珍しいわね。
 ミウって凄く我慢強くてあまり泣かない子なのに…何があったの?」

「――音楽の家のベートーベンの部屋に、ベートーベンの難聴体感できる展示物があったのを覚えてるか?」

「ええ」

「あの展示物の説明を…ベートーベンは耳が聞こえなくなっても音楽活動をしていたと説明したら、ミウが『耳が聞こえなかったらピアノが弾けない』と云うものだから『ママと同じだよ。ママの右耳は病気になって聞こえなくなってしまったんだ』と云ったんだ。
 そうしたら暫く黙りこんでしまって…急に号泣し始めたんだ」

「どうして?」

「……」

「ね、先生、どうして?」

カン・マエは数秒ほど言いよどんだ後、

「――ひとしきり泣いた後、『ママも聞こえなくなっちゃうの?いつかベートーベンみたいに音が聞こえなくなっちゃうの?そんなのイヤだ。ママはそんな風にならない』…と云ったんだ…」

「……っ」

「それから『今からすぐに家に帰ってママに会いたい』、とまた泣き始めたから他に行く予定を切り上げて帰ってきたんだ」

そう伝えられたルミの大きな瞳は一気に潤み始めた。

「ミウが……そんなこと云ったの……?」

「ああ…」

「……こんなに小さいのに、そんなことを…?」

「俺も驚いたよ。
 幼いとこんなにも感受性が豊かなんだな…」

ルミの瞳からとうとう涙が溢れ出し、大粒の涙が次々と頬を伝う。
感極まって嗚咽が出そうだったので、ミウを起こさないように二人は静かに寝室を出た。



リビングにあるブルーグレーの大きなソファの中央に座り、咽び泣く妻の肩をカン・マエは無言で抱いていた。
数分した頃、ルミはハンカチで涙を拭いて

「先生……」

と鼻を啜りながら云う。

「ん?」

「私、これから先、もし左耳も聞こえなくなったとしても…もう大丈夫よ。
 先生が居るし、何よりあんなに優しいミウが居るもの…。
 何も怖くないわ」

「………」

「世間では『子供は親を選べない』って云うけど…。
 あの子が私たちの子供として生まれてきたのは、偶然なんかじゃないですね。
 きっと私たちのところを選んで生まれてきてくれたのね…」

カン・マエは無言で頷く。

「ミウが私たちの娘で本当に良かった…。
 本当に私の、私たちの天使ね…」

「あぁ…」

小さく呟いてルミの髪を優しく撫でると、ルミは夫の胸に顔を埋めて再び泣き始めた。



このウィーンの家で、こんなにも暖かな気持ちで過ごせる日が来るとは思っていなかった…と天井を仰ぎながらマエストロ・カン・ゴヌは思う。


長年付き合った恋人と別れて暫くした頃、この家を購入した。
彼女のことを引き摺っていたわけではなかったのだが、新しい環境に身を置きたかったのかもしれない。
それからまた日々が過ぎ、同級生である同業者の方が仕事が順調だと知った日も、自分の音楽を酷評された雑誌を見た日も、奥歯をギリと噛み締めながらこの家で過ごした。

誰も信じず、誰にも頼らず、冷え切った心で過ごしていたあの昔日――。

これと云ってこの家に楽しい想い出があったわけではない。
それはウィーンのこの家だけではなく、昔住んでいたウィーンやパリのアパルトマンも、同棲・結婚前のミュンヘンの家も同じであった。
それまで彼にとって「家」というものは、特に「帰りたい」と思う場所ではなかったのだ。
家という場所は仕事場のひとつであり、身体を休めるところ…そう認識していた。


左手の親指でルミの頬の涙を拭うと再び髪を撫で、彼女のおでこに唇を寄せて目を瞑る。


運命というものは己で切り開くものだと信じ、人生は一人で歩んでいくものだと固く決めていた。
歓びや悲しみを誰かと共有し分かち合うことなど、自分には生涯ないことなのだ…と。


だがその凝り固まった思想を根底から覆す存在に…トゥ・ルミに出会ってしまった。
そして彼女との愛の結晶であり、“不変の存在”である娘のミウにも。

あの苦く懐かしい日々があったからこそ、現在の自分があると思っているので過去を否定しているわけではないが、あの頃の自分にはもう決して戻れないであろう。



カン・マエはルミの柔らかな髪を長い指で梳くように撫で続けている。

「もう、泣くな…」

そう云った後、いつだったか忘れたがソクランに居た頃、同じことを彼女に云ったな…と思いフッと小さく鼻を鳴らす。
涙で湿った親指で、薬指に嵌められた彼女とお揃いのプラチナリングに触れた。


きっと、これからもこうして妻の隣りに座り、泣き虫な彼女の肩を彼は抱くのだろう――。


感涙に咽ぶ妻を見つめながら、心が満たされていく感覚をカン・マエは噛みしめていた。


Das Ende





スクロールするとあとがき





























ミュンヘンでもウィーンでも、少しずつ、幸せな思い出の方が心に占める割合が多くなっていってるカン・マエです。

BGMは♪帰りた~い帰りた~い暖かい我が家が待っている♪(byセキスイハイム)ですねッ☆

カン・マエが着ていた服装はこんな感じです。

1-31-320x480.jpg

このオッチャン…かっこよすぎ!
モロタイプです(笑)


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コメント


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 ran | URL | 2014-03-21-Fri 16:13 [EDIT]


寅三吉。さま   こんにちは

カンマエが、こんなにも穏やかで温かな気持ちで過ごせる日が来るとは
私もベバの世界で彷徨ってよかったーーーと思えます。
思わず、寅三吉。さまと一緒にFin.しちゃうかしらん~って思ってしまう。
とは言うものの、まだ、やり残したことが私はあるのでFin.出来そうにありません。

人生は、思い通りに行かない事の方が多いのかもしれません。
でも、カンマエが1人ではなく隣に家族がいる事。
そして、その家族を愛している事が寅三吉。さまの作品から伝わるから
この先、この人は何が有っても大丈夫、、乗り越えていくと思えます。
そう思わせてくださり、有難うございます。

たまにドストレートな人間に浮気をしてくる私ですが、
「もう、泣くな…」と言う言葉に、締め付けられそうな思いです。
人それぞれの感じ方でいいのでしょうが、私もカンマエは「愛している」が
似合わないと思ってまして、、、、。
この「もう、泣くな…」は深いですよね。
この言葉にはカンマエ流の「愛している」入っている気がしますし、
ベバ本編での「もう、泣くな…」とは深さと温かさが違う気がしています。

ところで、ミウちゃんは上品にシクシク泣いたんですよね。
いえねぇ。これが男の子だったりするとシクシクなんて泣かない気がして。
比べるのもどうかと思いますが、愚息が2歳頃、新宿三丁目の大きなデパートを
出た所でギャン泣きした息子に手を焼いた事が有ります。
その時、通りすがりの人から、人さらいのような不審者をみるような扱いを
された経験があるだけに、上品な父と娘の外出姿を想像しただけで
ウットリでございました。

あら、、、最後にお写真のおじさま素敵じゃないですか?
ジャケットとか、少し麻のような感じもするし、、、
素敵なおじさま、、私のお部屋にお茶でもいかがかしらん~☆



Re: タイトルなし 寅三吉。 | URL | 2014-03-21-Fri 23:34 [EDIT]

●ran様

いつも有難うございますv

私の恥ずかしい妄想でそのように感じて下さり、恥ずかしいやら嬉しいやら…です(照)
でもran様にはまだまだまだまだ…finしないで頂きたいっ!
いつまでもカン・マエと言う人間を観察し、ベバの世界をどこまでも深く追及して欲しいです。
それにほら、こちらの方も別バージョンが残ってますし…本当にアップ出来るかどうかは定かじゃありませんが(苦笑)

「人生は、思い通りに行かない事の方が多い」
多分、カン・マエもそれまでの経験からそう感じることが多々あったと思いますが(不遇な少年時代でしたし)…彼にとって、トゥ・ルミという女性に出会ったことは彼のドラマ後の人生に多大なる影響があったのではないかと…いい方に「思い通りではなくなった」んだと、そう思いたいです。

> でも、カンマエが1人ではなく隣に家族がいる事。
> そして、その家族を愛している事が寅三吉。さまの作品から伝わるから
> この先、この人は何が有っても大丈夫、、乗り越えていくと思えます。

ドラマ後にルミに再会しなかったとしても、確かにカン・マエはそれなりに順風満帆な人生を過ごすだろうと思われる終わり方でした。
でもそれは音楽家としての成功のみで…恐らく独り身を貫き通すだろうとも思えました。
セリフで「人の人生を背負うなんてできない、だから私は独り身なのです」と云ってましたしね。
そんなカンマエの姿が切なすぎて…冷えた心に折角点った小さな灯を、もっともっと大きいものにしてあげたかった。
カン・マエ×ルミに嵌った私としては、どうしてもトゥ・ルミを通して人としての普通の幸せを描いてあげたかったのです。
そしてran様が言うように「もう大丈夫」なんです。
実を言いますと、このSSの時点でトーベンはもうこの世に居ないのですが、カン・マエはドラマの時のように取り乱すことはありませんでした。
ルミの方が悲しみに暮れたことになってます(;^ω^)

「愛している」=「もう、泣くな…」

そ、そこまで深く考えてらっしゃるとは…流石ran様…!!
私の場合はそんなことまで考えておりませんでしたが(苦笑)、「愛してる」が似合わないのは同感です。
当二次では1回だけ云わせてますが、後にも先にもプロポーズの時の1回だけ、ということになってます(笑)
「愛してる」とかその他の慰めの言葉を易々と云える彼じゃないですので、そうなると「もう泣くな」くらいしか思いつかなかったブログ主です。

> ところで、ミウちゃんは上品にシクシク泣いたんですよね。

いえ…本当に号泣したことになってるんです(汗)
あの、「となりのトトロ」の主人公のさつきちゃん、いますよね。
映画の中でさつきちゃんが唯一泣くシーンがあるのですが…長いこと病院に入院してるお母さんの一時帰宅が急にダメになり…

「お母さん…この前もそうだったの…ほんのちょっと入院するだけだって。風邪みたいなものだって…お母さん、死んじゃったらどうしよう…もしかしたらお母さん……うわーん!」

というシーンがあるのですが、こんな感じで泣いたことになってます。
どうやら私は「いつも気丈にふるまってる女の子の気持ちが崩れて号泣する」というシーンに大変弱いらしく、このシーンで毎回泣いてます(苦笑)
そんなわけで「ワンピース」と「しゃにむにGO!」という漫画のそんなシーンでいつも泣いてます。。。

「ウットリ」を崩してしまい申し訳ありませんー!!(滝汗)

おじさま画像、どうぞお茶に誘い下さい~♪
もしかして、改造しちゃいますか…?(笑)
楽しみにしております!!


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