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ハ・イドゥンの小夜曲(セレナーデ)
ご訪問有難うございますv

前回のSSアップからだいぶ空いてしまいました…申し訳ないです。

先日アップした雑記(「新年度のご挨拶?」)に記したように、今回のSSはハ・イドゥンとその恋人、アレッサンドロ・カニーニョのお話。
二人を引っ付けよう、そして結婚させよう、と思った時からぼんやりと考えていた番外SSです。

オリジナルキャラ…ではないんですが、ドラマ内で出て来たのに名前がなかった(と思われる)キャラの名前を勝手につけさせてもらいました。
「オ・サンヒョ」という名前の女性です。

それでは続きからどうぞ。





ソウルにある駅のホームでハ・イドゥンは乗車予定の電車が来るのを待っていた。
2月初旬のソウルは耳が千切れるのではないかと思えるほど寒い上、ホームの構造上びゅうびゅうと風が吹きさらしており、イドゥンは先ほどから素手の両掌を唇に寄せて息を吹きかけて暖を取っている。
ここに着いて何度か線路の向こうを覗いているが、自分が乗る予定の電車が現れる様子はない。

溜息のような長い息を吐くと、寒気で白くなり瞬時に風でかき消された。

「イドゥン」

名前を呼ばれた方を向くと、190㎝近い身長の白人男性が缶コーヒーを手にしていた。
ホームにいる人たちの殆どはコートやダウンジャケットを着て寒さをしのいでいるが、欧州人である彼はあまり寒くないのか、ワイシャツの上にくすんだ浅葱色のベロア生地のジャケットを着ているだけだ。

「とりあえず電車が来るまでこれで手を温めなよ」

「ん、アリガト」

缶を受け取るとイドゥンは両手で包み込むように持った。

それから程なくした頃に電車がホームに到着したので二人は乗り込んだのだった。



ハ・イドゥンの小夜曲(セレナーデ)


遠い異国の地でフルーティストとしてやっていくのは並大抵のことではない。
師の元で音楽の勉強をし、コンクールなどにエントリーしながらお金を稼ぐというのは大変なことである。
数か月前に出場した国際コンクールのフルート部門で2位を獲ったので幾つか仕事の依頼は来たものの、軌道に乗るまではまだまだ時間がかかりそうだ。
何処かのオケに空きがあればオーディションを受けようかと思っていたのだが、彼女の師匠であるアレキサンドラ・ルロワ――本名はアレクサンダー=レオポルド・ルロワ(男)であるのだが――に、

「イドゥン、アナタはフルーティストとして今後、もっともっと伸びると私は思ってるのよ。
 年を重ねるごとに深い音を出すようになるタイプ…つまり遅咲きなのよ。
 だから前回のコンクールでも準優勝したでしょう?
 …まぁ私としてはアナタの方が優勝した子よりも芸術的な演奏をしたと思ってるんだけど、芸術というものは人によって評価が違うから仕方ないんだけど……あー納得できないわぁ。
 その話は置いといて、オケに入って勉強していくのもいいけど、オケ団員とソリストでは演奏方法が違うから最初からソリストを目指しなさい。
 分かったわね?
 そんなわけでこれからもガシガシしごくわよ!」

と叱咤激励された。



いっそのことフルートを辞めて母国に帰ろうか…と弱気になったことも何度もある。

そんな弱音を彼女は恋人であるイタリア人男性には一度も吐いたことはなかったのだが、恋人…アレッサンドロ・カニーニョは察していた。
彼女の姉のような存在である友人トゥ・ルミには2回ほど相談をしたことがあるので、もしかするとそちらの方から聞いたのかもしれない。





ある日、イドゥンはアレッサンドロといつものようにシュトゥットガルトで会い、いつものように…いや、いつもよりも高級なレストランで食事をしてデザートを食べた後の出来事だった。
彼は着ているスーツのポケットに手を入れると、テーブルの上で開かれた大きな掌からロシアンブルーの猫の毛並みのようなグレーの小さな四角い箱が現れた。
そして箱を開けると…

「僕と結婚してください」

と小さなダイアモンドが付いた指輪を見せてくれた。
イドゥンは吃驚したのと何と答えたらいいのか分からず、暫くの間指輪を見つめたまま無言でいた。

「…返事はYes?
 それとも……No?」

それでもイドゥンは答えなかったので、アレッサンドロの瞳は少しずつ曇っていく。

「…No…なのかな?」

「あ…違うの…。
 どうしたらいいのか…だって私、まだまだフルーティストとして未熟者だから、これから沢山勉強しないといけないし…」

「結婚しても勉強は出来るよ」

「だって…だってそうなったらミュンヘンに行かなきゃダメじゃん!
 私、まだルロワ先生のところで勉強したいもの」

「結婚した後も暫くは今のまま、別々でいいんじゃないかな。
 そういう夫婦、結構いるよ」

「でも…」

「俺は君の支えになりたいんだよ。
 精神面でもそうだけど……金銭面でも。
 俺は誉れ高きミュンヘン・フィルの首席ファゴット奏者だぜ?
 …まぁ首席歴はまだ1年も経ってないけど…。
 そんじょそこらのサラリーマンよりは収入はあると自負してる。
 趣味もチェスとネットくらいしかないから、貯金もそれなりにあるしね」

「そんなの…申し訳ないよ…」

「俺もフィルに入るまでの間、金には苦労してたからイドゥンの苦労は分かってるつもりだよ。
 出来ればイドゥンには、そういう苦労をもうしてほしくないんだ」

「………」

「今まで…韓国に居たころから十分苦労してきたんだろう?
 そういう懸念を無くして音楽の世界に没頭して欲しい」

その言葉にイドゥンの目頭は一気に熱くなり思わず俯いた。

「…迷惑、かけちゃうかもしれないし…」

「いいよ、かけろよ。
 イドゥンにかけられる迷惑なら、俺はかけられたいくらいだ」

「………」

「もう一回云うよ。
 ――ハ・イドゥン、僕と結婚してください」

懸命に我慢していたイドゥンだが、とうとう涙が頬に伝い始め

「……はい」

俯いたまま震える声で小さく返事をした。
アレッサンドロはイドゥンの隣りに座ると、彼女の肩をそっと抱き寄せた。





そのプロポーズから3か月が過ぎ、今回は二人でイドゥンの両親が居る韓国に結婚の挨拶をしに来たのだ。
彼女の両親への挨拶は昨日済ませ、今はイドゥンが昔世話になったという老人が居るという療養所…グループホームに向かっている。
ソウルから特急電車で30分ほどの駅の近くに、そのグループホームはあるという。

車窓から見える景色は最初は大きなビルや建築物だったのだが、そのうち民家ばかりが見えるようになり、また少し走ると畑や田んぼも現れた。
アレッサンドロの母国であるイタリアや長く住んでいるドイツとは全く異なるオリエンタルな風景に、先ほどから彼の眼は窓の外に釘づけだ。
少年のように目を輝かせる10歳年上の恋人のそんな姿に、イドゥンは小さな笑みをこっそりと浮かべた。

最寄りの駅に到着した電車を下車した二人は改札を通ると、イドゥンが「こっちだよ」と先を歩いて恋人を先導する。
韓国の首都であるソウル市より程よく近く、程よく離れたところにあるこの街は数キロ先にある山が見渡せる喉かな土地だ。


ハ・イドゥンがこの地に降り立つのはもう4年振りだろうか――。

ドイツのシュトゥットガルトに渡ってもう6年にもなるが、彼女が母国に帰ってきたのは今回を含めてたったの2回だ。
前回は留学して2年経った頃、糖尿病を患っていた彼女の母親の調子があまり思わしくないということで夏休みに1週間ほど帰国した。
それから帰国する渡航費が勿体ないというのもあるが、一度帰ってしまうと居心地の良さに母国から離れがたくなってしまい、ホームシックになってしまいそうなのでなるべく帰国しないことにしたのだった。

グループホームまでの短い道のりで、イドゥンは背の高い恋人の顔を仰ぐと

「サンドロ」

と彼女にだけ呼ぶことを許されているアレッサンドロの愛称を呼ぶと、彼は「何?」と柔らかい笑みを向けた。

「お爺さんは私のこと覚えてないから。
 “ヨンジュ”って呼ぶかもしれないけど、それで通してね。
 認知症の人の云うことは否定しない方がいいんだって。
 ヨンジュはお爺さんの……随分前に亡くなった娘さんだから」

「了解」

アレッサンドロはイドゥンの手を繋ごうとしたがサッと避けられて早足で歩き出したので、アレッサンドロは苦笑いをしながら肩を竦めると行き場の失った手をズボンのポケットに入れて彼女の後ろを歩いた。


駅から5分ほど歩いたところに周りの民家よりも少しだけ大き目の、マンションのような建物の玄関ドアへと続くスロープを歩いて行く。
イドゥンはドアの前で呼び鈴を押すとインターホン越しに男性の声が聞こえ、アレッサンドロには分からない言葉で十数秒遣り取りした後、「カチャン」と開錠した音が響いたのでイドゥンはスライドドアを開けた。
玄関で靴を脱いで中に入ると正面にまたスライドドアがあり、イドゥンが壁のボタンを押して開錠する。
恐らく入居者が簡単に出ることが出来ないように厳重に施錠管理がしてあるようだ。

部屋の中は30畳ほどのリビングのような共有スペースになっており、数名の入居者と職員が居た。

「どの人?」

とアレッサンドロが訊いたのでイドゥンは部屋の中を見渡したが、どうやらその中に目当ての人物は居ないようで小さく首を振る。

「ハ・イドゥンさん」

10メートルほど先の廊下からにこやかな表情でイドゥンに歩み寄ってきたのは、50代半ばくらいの女性である。
イドゥンは「サンヒョさん」と云うと微笑んで軽く会釈をした。

「こんにちは、ご無沙汰してます」

「こんにちは。
 今日はわざわざ有難う」

「いえ、なかなかこっちに帰ってこれなくって…。
 4年ぶりです、お爺さんに逢うの」

「もう4年も経つのね…。
 で、後ろの彼がイドゥンさんの婚約者ね?
 Welcome to South Korea,Nice to meet you!」

とサンヒョは右手を出したのでアレッサンドロも握手に応じて英語で挨拶と簡単な自己紹介をした。

「ふふ、メールで送ってもらった写真で見るよりもカッコいいわね。
 お義父さんもきっと喜ぶわ」

イドゥンは恥ずかしそうな笑みを浮かべながら、

「お爺さんは元気ですか?」

「ええ、先月風邪を引いて少し高い熱を出したけど、今は大丈夫よ。
 それに認知症の方も…メールにも書いたけど、飲んでる薬がお義父さんに合ってるのか、4年前と比べてもそんなに進行してないの。
 と云っても記憶は曖昧だけどね。
 しょっちゅう来てる私のことも時々分からなくなることがあるわね」

と少し困ったような笑みを浮かべると二人をいざなった。

共有スペースを抜けて奥へ行くと他は個室になっていて、廊下の突き当たり手前のドアをサンヒョは開けた。
10畳ほどの部屋にはベッドやソファやテレビが置いてあり、ホテルの一室のような作りになっている。
3人が部屋に入るとその部屋の主はソファに座ってテレビを見ていた。

「お義父さん、お客様ですよ」

サンヒョに呼ばれて振り向いた人物はソウル市響、そしてソクラン市響の元オーボエ奏者、キム・ガビョン氏である。

あの頃よりも更に白髪が増えて髪は真っ白になっており、幾分か痩せたのであろう……4年前に会った時よりも老けた印象を受けた。
ガビョンは暫くイドゥンの顔をじっと見つめている。

(もしかしたら…もう「ヨンジュ」とも呼んでもらえないかもしれない…)

ドキドキしながら反応を待っていると…

「おお、ヨンジュ!
 ヨンジュじゃないか」

ホッとしたような、がっかりしたような気持ちに彼女はなったが、

「…パパ、元気?」

とソファに近寄って笑顔で応える。

「ああ、私は元気だよ。
 ヨンジュの方こそどうだね?
 フルートは順調かい?」

「うん、少し前のコンクールで2位だったわ。
 あと2か月後にもまたコンクールがあるから、今猛練習してるところ」

「ほぉ!
 2位を獲ったコンクールは韓国のか?」

「ううん、国際コンクールよ」

「国際コンクールで2位?!
 凄いじゃないか、流石私の娘だ!」

ガビョンはのそり、とソファを立ち上がるとイドゥンを抱きしめた。

「お爺さ…パパ、そんなに強く抱きしめたら痛いよ」

「ああ、すまんすまん」

ガビョンはイドゥンを離し今度は彼女の頭を撫でる。

「今はソウルの学校に居るんだったか?
 お金には困ってないか?
 もし足りなかったら遠慮なく云うんだぞ」

「うん、有難う、パパ」

暫く歓談…と云ってもガビョンの話にイドゥンが合わせてるだけなのだが…をしていると、サンヒョが「イドゥンさん、ちょっといいかしら?」とドアの向こうから声を掛けてきたのでイドゥンは部屋を出た。


彼女がキム・ガビョン氏から譲り受けた遺産は、実を云うと殆ど遣っていない。
音楽以外のことでは…音楽のことでも、なるべく遣いたくないと彼女は思っているからだ。
アレッサンドロはこの老人から遺産を受け取ることになった経緯を詳しく訊いており、決して彼女の貯蓄が少なくないことも知っているが、彼女がそのお金を遣いたくないという気持ちもよく理解している。
逆に云うとそんな彼女だからこそ、自分が護ってあげたいと思いプロポーズをしたのだ。


部屋に残された接点のない男二人は暫くの間無言でいたのだが、再びソファに座ったガビョンがアレッサンドロを見上げると

「まぁ、君はここに座りなさい」

中央に座っていたソファの端に寄った。
韓国語で云われたのだがアレッサンドロは察して座り、それからまた数十秒ほど会話はなかったのだが…

「君はあの子の恋人かね?」

訛りはあるがガビョンは英語で質問をしてきた。

「はい、アレッサンドロ・カニーニョといいます。
 この間プロポーズしました。
 今日はそのご挨拶に伺ったんです」

「そうか…。
 とうとうあの子も結婚か…」

と目を細めて嬉しそうな、だが僅かに寂しさを含んだ表情をした後、

「あの子は気が強くてね。
 それでいて自分の気持ちを素直に口に出来ないところもある。
 だが芯はとても温かくて優しい子だ。
 …そういうところを君は分かってくれてるかな?」

その言葉にアレッサンドロはクスリと笑う。

「はい、心得てます」

「ふん…それじゃあ大丈夫だな。
 どうかあの子を、イドゥンを幸せにしてあげてほしい」

「はい、幸せにします」

その言葉を聞いたガビョンは満足したような笑顔をし大きく頷くと再びテレビを見始めたので、アレッサンドロは窓から見える庭に目を向け…それから数秒後、アレッサンドロはガビョンが「イドゥン」と云ったことに気が付いた。
ゆっくりとガビョンの方に向き直ると…

「あの…今、イドゥン、と…?」

「ん?
 何か?」

「今、イドゥンと云いましたよね?」

「ああ、君は新しい職員さんかな?
 イドゥンという名前なのかい?」

「………」

アレッサンドロが何も答えないままでいると、ガビョンは怪訝そうな顔をしてテレビの方に向けた。
二人はそのまま会話をせず、イドゥンが帰ってくるまでテレビを眺めていた。





ソウルへ向かう電車の中、二人掛けの座席にイドゥンは窓際に、アレッサンドロは通路側に座っていた。

…イドゥンが部屋に戻ると、ガビョンはもう彼女のことを「ヨンジュ」とも呼んでくれなかった。
どうやらホームの職員か誰かだと思われたらしい。
仕方がないことだとは思っているものの、イドゥンの胸は締め付けられたように苦しかった。

「……サンドロ、私、次に韓国に帰ってくるときにはもう、お爺さんのところに行かない方がいいかな…?」

「どうして?」

「ヨンジュって呼んでもらえることだけでも奇跡だと思ってたけどね。
 あんな数分で忘れられちゃうんだって思ったら…切なくなっちゃった…。
 それだったらもう、会わない方がいいかなって……」

珍しく弱音を吐く恋人の姿に、アレッサンドロはいつもと変わらない優しい眼差しを向ける。

「イドゥンが部屋を出てる時に英語で少しだけ会話したんだけど…。
 お爺さん、一回だけ『イドゥン』って云ったよ。
 どうやら無意識らしいけど…」

その言葉にイドゥンは驚いた表情でアレッサンドロを見上げた。

「……ホントに?」

「イドゥンを幸せにしてやってくれってお願いされたよ。
 だから完全にイドゥンのことを忘れたわけじゃないんだよ。
 ああいう人は過去と現在を行ったり来たりしてるって云うからさ、時折君のことも想い出してるんじゃないかな」

「……そう…かな?」

「きっとそうだよ」

イドゥンは鼻の奥がツンとし目頭が熱くなる感覚がしたので、涙が出ないように誤魔化そうと、先ほどサンヒョに呼ばれたときに渡された手提げの紙袋を手に取ると中から箱を取り出した。

「お爺さんの息子さん夫婦に気が早いけど…ってコレもらっちゃった」

「何をもらったの?」

「………赤ちゃんの服のセット…」

イドゥンは中の物を見せるために箱を開けると、パステルイエローの可愛いロンパースと揃いの帽子、肌着が3着入っていた。

「気が早いって云うか、まだ子供が出来るかどうか分からないのにって云ったら、『大丈夫よ、あなたと彼の間には3人くらい出来るんじゃないかしら?私の勘は当たるの』って不思議なこと云われちゃった」

「へぇ?」

「でもフルートの勉強しなきゃいけないし…ってことも云ったら、『1人目は2年後くらいかしらね』…だって」

「ふぅん、2年後ね…。
 俺としては今すぐでもいいけど?」

「…馬鹿…」

照れ隠しなのか、イドゥンは箱を閉じて袋に仕舞うと窓の方に顔を向けた。
もう5年も付き合っている婚約者のそんな反応を熟知しているアレッサンドロは、膝に置かれたイドゥンの右手の甲に自身の左手を重ねる。

「ね、イドゥン」

「何?」

「幸せになろうな。
 マエストロとルミみたいな夫婦に…いや、あの二人以上に幸せな夫婦になろう?」

決して言葉にして出したことはないのだが、イドゥンは結婚したらマエストロ・カン・ゴヌとトゥ・ルミのような互いを信頼し合える夫婦になりたい、と常日頃から思っていた。
だが自分はルミのように素直な性格と大らかさは持ち合わせてないので無理だと思っていたが、この人とだったらそんな夫婦関係を築けるかもしれない…と思い始めていた。

「………ん…」

イドゥンは西の空へと沈みゆく太陽を見ながら小さく返事をすると、手をひっくり返してアレッサンドロの大きな手を握る。

そして次に帰国した時もガビョン氏の元にまた訪れよう、と彼女は心に決めた。

車窓の外を眺めていると、アレッサンドロがジャズのスタンダードナンバーである「ムーンライト・セレナーデ」をハミングで口ずさみ始めた。
その穏やかな旋律と、いつの間にか聴いてると安心するようになった彼の声色と手の温もりにイドゥンの瞼は次第に下がっていき、うつらうつらと船を漕ぎ始めたのでアレッサンドロは右手でイドゥンの頭を自分の肩にそっと引き寄せる。
恋人の優しい行為にイドゥンは一瞬目を覚ますが、そのまま体重を委ねて終着である駅に到着するまで少しだけ眠ることにした。









スクロールするとあとがき




























アレッサンドロの初韓国訪問のお話でした(違)

アレッサンドロはプロポーズの時、アメリカ人やイギリス人みたいに騎士(ナイト)風に片膝をついて指輪を捧げながら「結婚してください」と云うのかしら?と調べたところ、イタリア人は意外にもそういうことはあまりしないそうです。
普通に「結婚してください」という人が殆どなんだとか。

そしてやっと当二次にてキム・ガビョン氏を出すことが出来ました!!
当二次で出てないドラマの主要?人物…あとはチェ・ソッキュンやカン・チュンベ、そしてキム係長くらいでしょーか(笑)

ガビョンさんの息子さんはどうやら大学の教授か何かのようで…世界各国を慌ただしく駆け巡ってますよね。
ドラマでは日本に住んでるということになってますがなかなか連絡がつかず、出張でどこか海外に赴いていた、とセリフにありました。
しかも奥さんも同行していたようなので、二人の間にはもしかし子供が居ないのかな…なんて。
居たとしてももう高校生くらいで大きいから、置いて行ったのかもしれませんね。
高校生にもなれば、両親が長いこと不在だなんて「やったー!自由だ~!」と大喜びですから(笑)

ガビョンさんの年齢(68歳)から考えると、もし孫がいたとしたら大きくても成人する前くらいだと思われます。
それを考えるとガビョンさんは亡くなった娘のヨンジュと孫の姿をイドゥンに重ねていたのかな…なんてことも考えてます。

ガビョンさんの息子の嫁、ちょっと不思議な力があることにしてしまいました(汗笑)
そうじゃないと結婚のお祝いに子供服って変ですもんね…。
因みにこの時点でイドゥンとアレの間に生まれる子供の性別も嫁は分かってますが(しかも3人とも)、そこまでは伝えてないということになってます。

ガビョンさんのグループホームの描写は、以前勤めていた歯医者の往診で何軒かそういう場所に行ってまして、そちらを参考にさせてもらいました。
歯医者での経験がまさかこのようなSSに役に立つとは…人生、色々と経験しておいて損はない、としみじみ思いました。


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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

【2014/04/18 14:34】 | ベバ二次小説 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑
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コメント
寅三吉。さま

こんにちは
アレッサンドロくん、私の中ではベバの完全なる登場人物の1人です。
オリキャラ?いえいえ、それを超えた彼の存在感が立派です。
それも、どんな役割も文句を言わずこなす器用な彼だから。
でもそれ以上に寅三吉。さまの操縦術の巧みさでしょう(笑)

「ハ・イドゥンの小夜曲」素敵でした。
淡い水彩画をみているような感覚とでも言いましょうか、、。
テンプレの淡い桜色が「ハ・イドゥンの小夜曲」と重なります。

本編の遠慮のない振る舞いをしていたイドゥンが苦手と言う方が
いらっしゃるのも存じていますが、あの時のイドゥンがあるからこそ
今の彼女が有るんだな、、、大人になったんだなと。
そして、また一つ幸せの形を寅三吉。さまに見せて頂き安心しました。

これ、私の独特の感覚ですので、笑って許してくださいね。
本編のイドゥンの印象が残像のように刻まれているわけで
そのイドゥンの女としての部分を感じさる。
それはアレッサンドロも同様で、いつもと違った1人の男を感じさせる色合いが
素晴らしく好きです。
アレッサンドロの色に溶け込んでいくイドィンが感じられるし
2人の色が混じり合い、これからの2人の希望と幸福を感じさせる。
そんな淡い水彩画の世界かな、、私にとっては。

終わり方も素敵です。
ベバ好きにはアレッサンドロの肩に委ねるイドゥンの姿に色んな意味で
安堵する精神安定上有難いエンディングに拍手です。

私もアレッサンドロ君のプロポーズは片膝ついてだと思っていましたが
イタリア人は違うのですね。
そういう緻密な下調べに頭が下がります。

ピュアでした♪久々に寅三吉。さまの淡くてピュア過ぎる世界を
味あわせて頂きました。有難うございます☆



【2014/04/20 14:00】 URL | ran #0EjQUAK2[ 編集] | page top↑
●ran様

こんにちは、いつもコメントを有難うございます!

ran様の中で完全なる登場人物の1人…だなんて、そんな凄いお言葉を頂いてしまったら、ベバ脚本家のホン姉妹に怒られてしまいそうです(汗)

仰る通り、アレッサンドロには様々な役割をさせてしまいましたね。
彼のお蔭で当二次の話に彩りや潤いが与えられた気がします。
自分が生み出したキャラながら、よくやってくれたと思います(笑)

> 淡い水彩画をみているような感覚とでも言いましょうか、、。

私は叙情的な表現が苦手で、他の方のベバ二次と比べるとストレートな文体をしてると感じてますが、そのように感じて頂けるとは夢にも思ってませんでした。
重ね重ね有難うございます。

イドゥンは確かにドラマ当初はかなり口が悪く、失礼極まりない子でしたから「うわ、この子、ダメだ!」と最初に思ってしまったら受け付けない人も多いでしょうね。
でもベバって登場人物それぞれの成長の物語だと私は思ってるので、終盤になるにつれての彼女の成長していく姿が私はとても好きです。
だからイドゥンも幸せにしてあげたいな~と思ったんですよね。
以前メールにも書いたかもしれませんが、イドゥンはドラマ内で一番カン・マエに境遇が近いキャラクターだと思ってるので、だからカン・マエはことのほか彼女にキツく当たったのかな…とも考えてます。

イドゥンはカン・マエに負けず劣らずツンデレなので口には出しませんが、相当アレッサンドロに惚れてる設定ですし、当二次ではアレッサンドロしか知らないのでかなり「アレッサンドロ色」に染められてることでしょう(笑)
夫婦になればそれなりに喧嘩をしたりすれ違いがあったりするでしょうけど、我が家のカン・マエ×ルミと同じく様々な困難を乗り越えて、絆を深めていく夫婦になって欲しいです。

> 私もアレッサンドロ君のプロポーズは片膝ついてだと思っていましたが
> イタリア人は違うのですね。

そうなんですよ!
あの気障なイタリア人だから、相当気障ったらしいことをするんだろう…と思いきや。
ネットで見たのでは、イタリア人男性と結婚した日本人女性は普通のプロポーズだったのでガッカリした…と書いてました(笑)
イタリアはその昔、結婚したらなかなか離婚が出来なかったそうなので、そういう場面は慎重だったのかもしれませんね。
【2014/04/20 23:29】 URL | 寅三吉。 #m9hpFNiU[ 編集] | page top↑
このコメントは管理人のみ閲覧できます
【2014/05/08 20:33】 | #[ 編集] | page top↑
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